合併症 上級問題

不正解　解説：糖尿病性神経障害は、自律神経にも影響を及ぼし、胃や腸の動きが低下することがあります。これにより、胃もたれや便秘、下痢などの消化管運動障害（胃不全麻痺や糖尿病性下痢）を引き起こすことがあります。血糖コントロールの改善が症状の軽減につながることがあります。

不正解　解説：高血圧は網膜の血流障害を悪化させ、糖尿病性網膜症の進行を促進します。そのため、血糖管理だけでなく、血圧の適切なコントロールも網膜症の進行抑制に有効です。

不正解　解説：糖尿病性腎症の初期段階では、尿中にごく少量のアルブミン（微量アルブミン尿）が排泄されることが特徴です。尿蛋白陽性の状態は中等度に進行しているが可能があり、早期発見には尿中アルブミンの測定を行います。

不正解　解説：糖尿病の慢性合併症は、毛細血管が障害される細小血管症（網膜症・腎症・神経障害）と、動脈硬化による大血管症（心筋梗塞・脳梗塞など）に分類されます。

不正解　解説：高血糖が続くと、インスリンの働きが低下する「糖毒性」という状態が生じます。これにより、インスリンの分泌がさらに低下し、血糖値が一層上昇する悪循環が起こります。特に2型糖尿病では、インスリン抵抗性が悪化しやすくなります。早期からの血糖管理が重要です。

不正解　解説：糖尿病性ケトアシドーシス（DKA）や高浸透圧高血糖症候群（HHS）は、高血糖に伴う重篤な代謝異常であり、放置すると生命に関わる危険があります。症状（倦怠感、呼吸の異常、意識障害など）が現れた場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。

不正解　解説：軽度の高血糖でも、血管の内皮細胞が損傷を受け、動脈硬化が進行しやすくなります。その結果、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクが高まります。血糖管理に加えて、血圧や脂質異常の管理、禁煙などが重要になります。

不正解　解説：高齢で認知症や身体機能の低下がある場合は、低血糖のリスクを避けるため血糖コントロール目標は緩やかに設定されます。過度に厳しい管理は転倒や意識障害の原因になることがあります。個々の健康状態に応じた柔軟な目標設定が重要です。

不正解　解説：1型糖尿病では体内でインスリンがほとんど分泌されないため、インスリン注射を中断すると血糖値が急激に上昇し、糖尿病性ケトアシドーシス（DKA）を引き起こします。DKAが進行すると意識障害（昏睡）に至る危険があるため、インスリン治療を継続することが重要です。

不正解　解説：喫煙は血管を収縮させ、血流を悪化させるため、糖尿病性足病変のリスクを高めます。また、傷の治りを遅くするため、感染リスクも上がります。禁煙することで血流が改善し、足病変や動脈硬化のリスクを低減できます。

不正解　解説：糖尿病性ケトアシドーシス（DKA）は、インスリン不足により血糖値が異常に高くなり、脂肪がエネルギー源として分解されることでケトン体が産生され、血液が酸性化する状態です。1型糖尿病患者に多く見られ、重症化すると昏睡状態に陥ることもあるため、早急な治療が必要です。

不正解　解説：膵臓の病気（慢性膵炎、膵がんなど）によってインスリンを分泌するβ細胞が障害されると、糖尿病を発症することがあります。また、脂肪肝や肝硬変などの肝臓病では、肝臓での糖代謝が乱れ、インスリンの働きが低下し、血糖コントロールが悪化します。これらの糖尿病は「二次性糖尿病」と呼ばれ、原因疾患の治療が重要です。

不正解　解説：ステロイド薬は血糖値を上げる作用があり、長期間使用すると糖尿病を発症することがあります。特に、膠原病や免疫の病気の治療でステロイドを使用する人は注意が必要です。ステロイドによる糖尿病は「ステロイド糖尿病」と呼ばれ、一時的な場合もありますが、慢性化することもあります。定期的な血糖チェックと、食事や運動による管理が大切です。

不正解　解説：1型糖尿病は、自己免疫の異常により膵臓のβ細胞が破壊され、インスリン分泌が低下することで発症します。自己免疫の異常によりすい臓のランゲルハンス島のβ細胞に対する自己抗体が血中に検出される（一部の1型糖尿病では検出されないことがあります）。

不正解　解説：1型糖尿病では、インスリンが体内で分泌されないため、食事・運動・インスリン投与のバランスが崩れると血糖値が急激に変動しやすくなります。特に低血糖や糖尿病性ケトアシドーシス（DKA）のリスクが高いため、血糖値のこまめなチェックと適切なインスリン調整が重要です。

不正解　解説：2型糖尿病では、肥満や慢性的な炎症がインスリンの作用低下を引き起こし、インスリンがうまく働かなくなります。脂肪細胞から分泌されるサイトカインがインスリンの作用を妨げることが原因の一つです。生活習慣の改善が重要な対策となります。

不正解　解説：糖尿病患者は高血糖の影響で免疫機能が低下し、細菌や真菌による感染症にかかりやすくなりますが、血糖管理を適正に保つことで免疫能は改善します。

不正解　解説：糖尿病性足病変は、神経障害や血流障害（末梢動脈疾患）によって足の傷が悪化し、感染を起こしやすくなる状態です。重症化すると壊疽（組織の壊死）を引き起こし、最悪の場合、足の切断が必要になることもあります。日々の足のチェックや適切なフットケアが重要です。

不正解　解説：糖尿病性網膜症は、初期には自覚症状が少なく、進行すると視力低下や失明のリスクがあります。病変は目の奥の眼底というところに生じるので、早期発見・治療のために、眼科検査（眼底検査）を受ける必要があります。

不正解　解説：2型糖尿病では、体の細胞がインスリンに対する反応を示しにくくなる「インスリン抵抗性」と、膵臓のβ細胞からのインスリン分泌が低下する「インスリン分泌不足」の両方が関与します。これにより血糖値が上昇し、糖尿病が発症します。

不正解　解説：糖尿病性神経障害により、足や手の感覚が鈍くなることがあります。そのため、けがや火傷に気づかず放置してしまい、傷が悪化することがあります。特に足のチェックを習慣化し、異常があれば早めに医療機関を受診することが大切です。

不正解　解説：糖尿病の人は、高血糖が原因で血管が傷つき、動脈硬化が進みやすくなります。さらに、インスリン抵抗性や糖尿病性心筋症により、心筋の機能が低下し、心不全のリスクが高まります。また、高血圧や腎機能障害を併発しやすく、これも心不全の要因となります。血糖・血圧・脂質の適切な管理が心不全予防に重要です。

不正解　解説：糖尿病性神経障害は、特に末梢神経（手足や内臓の神経）に影響を与えることが多く、しびれや感覚異常、痛みなどを引き起こします。進行すると、足の傷に気づかず重症化することもあるため、日常的な足のチェックが推奨されます。ちなみに脳梗塞は動脈硬化症による合併症です。

不正解　解説：糖尿病が進行すると、腎臓の働きが悪くなり、尿量が少なくなって最悪の場合は人工透析が必要になることがあります。しかしながら、早期の段階では尿蛋白を認めるのみで、尿を作る働きは保たれます。検査では血液検査でeGFR（推定糸球体濾過率）を測定します。

不正解　解説：2型糖尿病は、生活習慣に加えて遺伝的要因も発症に関与します。特に、日本人は欧米人に比べてインスリン分泌能力がもともと低い体質があり、糖尿病になりやすい傾向があります。そのため、過食や運動不足などでインスリンの働きが悪くなると、血糖値を十分に下げられなくなります。ただし、適切な生活習慣の維持によって、発症を予防または遅らせることが可能です。